LAST UPDATE : 20 February 2023
Grass Seated Chair / HUDCO
George Nakashima
日系アメリカ人のジョージナカシマがデザインしたGrass Seated Chair。 椅子の名前にあるGrass Seatedは「い草」から来ており、 い草は湿度調節に優れた素材で畳や草履に使用される、日本人にも馴染み深い素材です。
日本との関わりや本人の魅力について、語りたい事は沢山あるのですが、 また長くなり過ぎてしまいますので…、作品に関連する最小限の説明のみとさせて頂きます。
この作品がデザインされたのは1940年代ですが、 インドのAhmedabadにあるデザイン研究所、 NID (National Institute of Design)の創設者の1人であるGira Sarabhaiに招待され、 その際に32種の家具図面と製作権をNIDに残し、1970年代中期頃まで 現地の材料、現地の職人によって 研究所の木材工房で作られていたようです。
現在でもウォールナット製のGrass Seated Chairは ニューホープの工房と桜製作所で熟練した職人により、丁寧に作り続けられてますが、 NIDに残した図面では現地インドに適した仕様に変更されているようです。
インドでは材料は乾燥しない、技術も良くない事から多くの苦労もあったようで、 また、娘であるミラ ナカシマはインドでの展開について「それでだめになった」という表現もされてます。
この表現について、あくまで個人的見解ではありますが、 作品はNIDの近隣都市を問わず、インド各地で様々なディテール違いの作品が見つかり、 これは作り続ける中でそうなったであろうと思われるものから、 見様見真似で作ったと思われるものまで、多くのディテール違いが存在し、 その過程の資料も存在しない為、線引きが非常に難しく、 それぞれの作品の是非について世界中で様々な議論がなされてます。
しかし、どれも内容的にあまりに浅すぎて根拠もなく、結果は出そうにありませんが、 注目されるほどにディテール関係なく年々高騰しており、 良質なもの程、日々入手が難しくなっているのが事実としてございます。
今回買い付けた作品はストーリーの舞台、Ahmedabadで見つかった作品。 インドの政府機関、HUDCO (Housing and Urban Development Corporation Limited) から放出されたもので、それを裏付けるレターも残っております。
通常NIDのGrass Seated Chairは現地のローズウッド、Sissooが使われてますが、 こちらは恐らく、チーク材かと思われます。
詳しく調べてみたところ、HUDCOの後にあるAROが AhmedabadにあるHUDCOのGUJARATオフィス アカウントに使われている呼称のようで、 恐らくAhmedabad Officeの発音からAROと推測しております。
この作品でレターがあるものは私も今回が初見。 まだ解明出来ていない事の多いインドのジョージナカシマ作品ですが、 こうして情報が読み取れる作品は非常に面白く、興味深いです。
発見時の写真も残っておりますので弊社倉庫、もしくは展示時のイベント会場にて対面時に閲覧可能、 納品時には資料に含め、納品させて頂きます。
彼は日本で作品を展示する際、「里帰り」と表現していたようですが、 今回の作品に私もそのように感じました。
参考資料 :
Nature Form & Spirit: The Life and Legacy of George Nakashima / Harry N. Abrams
The Soul of a Tree: A Master Woodworker’s Reflections / Kodansha America, Inc
「ジョージ・ナカシマ」+「GEORGE NAKASHIMA DESIGN」/ 桜製作所
Das Erbe der Nakashimas: „Wir sind an einem Scheidepunkt“ / AD Magazin
Crafting Community: George Nakashima and Modern Design in India / ARCHITEXTUREZ SOUTH ASIA
- CreatorGeorge Nakashima
- Related areaIndia
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